「木曽路はすべて山の中である」
島崎藤村の〝夜明け前〟。舞台は馬籠だったと記憶している。今回は馬籠宿(岐阜県)をパス、妻籠宿と奈良井宿(長野県)を選んだ。
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「60からの旅」 に載せていないところから、馬籠宿と妻籠宿を訪ねたのは20世紀の終わり頃だろう。馬籠宿については〝宿場のたたずまい〟〝 そば屋さん〟〝
木工品の土産店〟の記憶があるが、妻籠宿は どうしても思い出せない。ひょっとしたら、行ってないのかなとの気もあって、この旅路に加えた。 |
木曽といえば〝御岳さん〟。聞きなれた民謡だ。
御嶽山の周辺は、濁河温泉(岐阜県)から開田高原を兄貴の家族と一緒に旅をしている。その頃から長野県側にある〝王滝村〟の名前が頭の隅に残っている。いつか、王滝側から御嶽山に登ってみたい・・・その思いからだろう。
いまもって不思議なのは〝御嶽山〟、それ以外は ほとんどが〝御岳〟になっている。山への信仰が、このような使い分けをさせているのだろうか。 |
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もう一つは湖。木曽川は木祖村鉢盛山からの源流とと御嶽山から流れ来る王滝川が合流して、木曽の桟や寝覚の床などの渓流を形成し、やがて伊勢湾に注ぐ。この間、幾多の景勝がある。
鉢盛山近くの〝奥木曽湖〟、王滝川の〝御岳湖〟・・・この二つの湖の紅葉に出会う旅を計画してみた。宿は 両湖の間にある〝寝覚の床〟前とした。
この二つの湖はともにダム湖である。奥木曽湖は味噌川ダムによって生まれた湖、多目的ダムとしては日本での一番の高地(1,130m)、御岳湖は牧尾ダムの建設によって生まれた。
木曽には名勝地が多い。シーズンになっても両湖に観光バスが殺到することもない。
静かで、水はどこまでも澄んでいる。街中に流れる水と渓流沿いの水の透明度をくらべるとき、自然を傷つけたいないなぁと、毎度 同じ思いに駆られる。
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