二百十日の初秋の風が吹くころ、おわら風の盆の幕開けを迎える。涼しげな揃いの浴衣に、編笠の間から少し顔を覗かせたその姿は、実に幻想的であり優美である。胡弓の音色は、どこかもの悲しい。越後瞽女の佐藤千代が奏でていた胡弓と出会いが、その始まりだと言う(八尾町のホームページから抜粋)。
旅の計画に「風の盆」を選んだのは、単純な理由。石川さゆりの演歌「風の盆恋唄」に惹かれたから。
歩き始めて直ぐに「2組の町ながし」に出会う。「下がってください、下がってください」 と係員の怒声が飛び交う。
無理もない。人口 22,000人余の街に、60,000人の観光客が押し寄せるのだから、伝統としての風の盆も、演歌の持つ響きも遠いものになる。
とにかく「見られたのだから満足しよう」と横道へ。ふらふら歩いていたら、聞名寺へ出た。境内で踊りが披露されている。小学校のグランドで行われる演舞会(有料)よりも、グット近くで味わえるから、なんだか 得をした気分(無料)。
風の盆・・・・・その情緒に浸りたいときは。11時以降に。
シャトルバスの関係もあって、観光客は午後11時に引き上げる。静かになった街で、「街の人の風の盆」が始まるという。同宿だった方は、午前4時に宿へ戻られたとか。
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