ベルナール・ラノーの12の機械部屋 (2)

ベルナール・ラノーが、こだわっていた(好きだった)点が2つあった。
(1) 片段。・・・段山の凹凸を組み合わせて、歯車とベルトにして運動部にした。
(2) 無装飾。・・・ダンボールに色を付けたり飾り紙を貼ることなく、ダンボールの
      暖かい色と手触りを維持した。
この資料は、1976年に発行されたもので、所属は当時のものです。
←片段の写真は、チヨダコンテナー(旧社名:千代田紙工業)のパンフレットより借用しています。

資料提供 共立女子大学: 伊藤 紀之 先生
翻訳 麗澤大学: 花田 淳子 先生
 〃 千代田紙工業: 片山 和人 学習素材研究室長



1977年 ORLEANS(フランス)にて

この資料の後段は、部材の大きさや今日まで、どのようなところで催しが行われたかを述べている。
このメッセが開かれるまでに、何度もデパートで展示されたり、時にはテレビで放映されたりしながら、多くの場所に設置されたことを記録し、約4年間に、6,000人の子どもたち(大人も)が、ダンボールの動く構造体に魅了され、多くの発見を行い、進退を使う喜びと驚きを体験した、とリポートされている。


ラノーの12の部屋
12の機械の部屋は、夫々に動く構造体であるが、それは 「独立した物としての見方」 も、「全体として一つの物だとの見方」 もできる。それぞれの目的の役割に沿って参加する立場から自由な解釈ができるが、ラノーは 「この全てをもって、一つのモニュメント」 としている。
視覚の楽しみ
ラノーが提唱し、創りだしたこの多様な部屋は、性格的に二つに分かれる。
その一つは、完全な参観用で、部屋にはすでにダンボールで作った構造体がセットされており、参観者はモーターやクランク軸の動きを中心に、構造体が見せるいろいろな変化を楽しむことができる。
行動そして遊び
もう一つは、この部屋を訪ねた人が、自ら参加し、いろいろな材料を組み合わせながら、一つのメカを創りだすコーナーである。ここでは、見るだけでは感じられなかった喜びと驚きが、ダンボールの動く構造体を操作することによって見出すことができる。
ラノーがこだわりを見せた歯車とベルトの構造図は、次のようなものである。筒状の円周に巻かれているのは、片段。ベルトも片段である。
ベルナール・ラノーは、参加する人が、より早く いろいろな実験や発見ができるために、充分に考慮された多くのユニット部品を用意して、自由に使えるように準備している。

参加した人は、ベルトで遠くのユニットと近くにユニットを同時に動かしたり、また 別の機械に繋いだりする。
そのようにしていると、そのコーナーは、「ベルトが廻る音や、ギシギシとする音や、歯車装置の雑音」 などが加わって、非常に活き活きとした空間になっていく。

参加した子どもも大人も、これは「機械のお祭なんだ」 と気付くだろう。
それを審美的と理解するのもよし、非審美的と見るのもよい。言いかえると、夢想的でもあり、感覚的でもあり、また知性的と言える。

この部屋のいろいろなユニットを使ってする遊びは、単に機械が動くだけでなく、参加者も身体を動かしてする遊びでもある。
時には、自分よりも大きいブロックや歯車を持ち上げたりしているうちに、小さな軸で巨大な機械を動かすときなどは、何か自分と機械が一体化しているように感じられるだろう。

ダンボールの特徴
ベルナール・ラノーは、今回の企画で、徹底してダンボールを使った。
一般の人々には、ダンボールが「箱以外に、どのような性格や可能性を持っているか」 は、知られていない。
ラノーは、ダンボールの特徴を
   @ 軽さ
   A 取り扱い易さ

だと見抜き、この二つの優れた特徴こそが、子どもたちにも、巨大な構造物を創れる要素さとしている。
ダンボールは軽く優しい強さなので、頭上にあっても危険はない。そして、なによりも安価に入手できる。

相対的な見方だが、紙の持つ強さのイメージよりは、はるかに強く、適度な緩衝性と構造性はより丈夫なものをつくることに優れた特性を持っている。
ラノーは、ダンボールを使うとき、色付けをしたり、特殊な加工をして良いものと見えるような細工をしない。ダンボールそのものの色調や手触りを大切にしている。


ベルナール・ラノーは、乞われれば 何処へでも出かけて行くという。フランス国内に限らず、公開の場は ほぼヨーロッパ全域で展開している。ときには、大道芸人のように見られることがあっても。

話の中で面白かったのは、どの会場でも「説明パネル」や「講演」を避けていることだ。来場者が 何に興味を持ち、何を楽しんだか・・・来場者自身に発見してもらおうという訳だ。

「このような意味があります」・「このように楽しんでください」・・・との押し付けは一切しない。彼は ただひたすら、人間と機械文明の関係を、来場者自身で感じ取ってもらうことにしている。
彼は、押し付けがないところから生まれるのが文化だ・・・そんな持論を持っていた。




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