私たちが、このような動きをしているとき、共立女子大学家政学部で、伊藤紀之先生が、デザイン基礎Uゼミで、ダンボールを利用されていることがわかった。
伊藤紀之先生がダンボールを使用された理由を紹介すると
(先生の話から・・・一部を抜粋・・・)
何故ダンボールを使ったかを、あまり難しく考えないでいただきたいと思います。
デザイン教育というものは、決まりきった方法論がある訳でなく、いろいろな経験を通して、積み上げられてゆくものです。
ただ今日までは、立体デザインの素材には、「石膏」「粘土」「ケント紙」などが主として使われてきました。
私は基本的に、「何ごとも生活に密着したものでないかぎり、教育にはならない」
といった考え方を持っています。
その意味からいうと、石膏や粘土、ケント紙は生活に密着したものとは言いにくく、素材として必ずしも最適だとは考えられません。
共立女子大学の家政学部は、被服、食物、生活美術と専攻がわかれていますが、これは 衣・食・住に沿った内容であり、その意味からも、いかに生活に密着した素材を使うかは大切なことです。
そのような背景の中で、ダンボールを採用した訳ですが、これは
@ ダンボールは生活の周辺で充分認識されたものである。
A 手軽さ、特に加工のしやすさが優れており、特別の治具が不要である。
が何よりも教材としての便利性に富んでいると考えられます。
その他の面でも
B クラフトのもつテクスチャー(肌ざわり)の再評価
C 構造体としての面白さ、特徴の引っぱりだし
C-1 ダンボール自体が構造体である・・・・・この特徴
C-2 ダンボールを使えば、別の構造体が作れる・・・・・この特徴を狙ったことも事実です。
普段、私たちが なにげなく見ているダンボール(ダンボール箱)を、箱としてではなく、一つの素材として、別の角度から見てもよいのではないか。
そこから、何かが生まれるのではないか、といった漠然とした期待を持って教材としてみました。
紀之先生は、ダンボールを授業に取り入れる際、「ダンボール=ダンボール箱」の既成概念を打ち破るために、四角の箱が、必ずしも6平面だけで構成されるとは限らないことを、学生の手で体験させていかれた。
1m×2mのダンボール板で、実に愉快な「椅子」が次々と生まれていった。
そして夢中になった学生は自宅へ持ち帰り、その後「自分のつくった椅子」として、愛着を持って使用している・・・・・と報告されている。
ダンボールを教材として使うことは、「21世紀教育の会」に参加されている小学校のクラスでも多く見られる。
まだまだ試行錯誤の面は多いとのことだが、何か一つの可能性を含んでいる・・・・・多くの先生方の共通した認識のようだ。
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